へき地医療・鹿児島県1
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県議団健康福祉部会の調査です。
テーマは県内医療格差を是正する方法を鹿児島県に学ぶことです。沼島や家島以外は基本的に陸続きの兵庫県、それでも但馬や西播は医療機関の経営安定は困難で、一人開業医と公立病院以外はほとんど医療機関は存在しない地域です。広域エリアに高齢化が加わったこともあり、診療報酬制度の見直しが行われようとしているが現状では、地域が求める慢性・回復期、総合診療等を目指す医師は少ない。
~集中と分散~
鹿児島県立病院、徳洲会、鹿児島医師会病院などの核になる病院と地域の診療所がどんな関係でどのように連携しようとしているのか? 奄美諸島を所管する鹿児島県の現場に行ってきました。
1.瀬戸内町へき地診療所
奄美大島の南端、大島町の運営する診療所です。エリアは更に南の与路島、請島も含み、島の中に島がある状態。後方支援は県立大島病院(名瀬)が担当する。診療科目は内科・外科で医師は3名、病床は19床。(1名の医師は離島廻り) 医師は2名が鹿児島大学、1名が自治医大からの派遣。
実際のところ、前科に渡るプライマリーケアと大病院から実家に近い瀬戸内町に送られてきた患者のターミナルケアを行っている。
一日の平均外来は50名、他に学校などの担当医もこなす。
経営的には年間5000万円の一般会計からの補填(内3000万円の政策医療費)を受けている。
2.一般社団法人アンマ
各都道府県において地域医療構想の策定が進められている。医療機関の機能分担、連携推進により最適な医療提供を整備する方法として地域医療連携推進法人制度が創設された。参加法人は医療法人馨和会、宇検村、瀬戸内町です。医療供給エリアは宇検村、瀬戸内町です。
内容?今から動くようです。
3.住用町国民健康保険診療所
住用町人口は1200人、診療科目はほぼ全科、医師数1名・看護師2名、職員2名・事務員2名、許可病床無し。奄美市住用町の支所に接続する建物内にあり、横には消防署がある。市の職員が医療行為に係る部分以外を手伝っている。公設民営の診療所で別に直営の歯科もある。
ここもやはり鹿児島大学の特別な計らいで医師派遣を交代制で行っている。現在の医師である野崎義弘氏は平成16年着任で当初は奥さん(看護師)も診療所で働いていたとか(現在は名瀬市でフットケアビジネスを立ち上げ)。一日平均の外来数34名。
県立病院との連携を医師会と共に図りながら良好な関係が構築できているようだった。何より野崎医師が明るく開放的な性格で、地域からの信頼も厚く、本人もやりがいを感じておられることが察せられた。
カルテ入力の音声識別装置や、電子化は汎用システムをうまく活用することよって県立病院、大学医局、民間医と連携しており、情報交換、学会への参加も補完し合う。
3.県立大島病院
奄美大島(旧名瀬市)にある350床、17診療科、18科の専門外来、医師数62名内研修医17名)、看護師270名、24時間365日の救急医療を提供。平成26年度より救急救命センター及び高度急性期病床を開設し鹿児島県2機目のドクターヘリ基地病院。
ドクターヘリのエリアは奄美大島、徳之島、喜界島、沖永良部島、与論島、他で累計人口は約11万人。 (屋久島、種子島、吐噶喇列島はもう一基のヘリが担当し鹿児島市民病院と県立鹿児島病院を基地とする)
エリアは420キロ、大島病院以外への搬送は沖縄本島、鹿児島市となる。夜間は自衛隊に依頼することも、また途中給油が必要な場合もある。
医師確保は鹿児島県でも大きな課題だが、その対抗策は5つの県立病院で初期研修プログラムを作成、県立や大学病院、県外の病院でも研修可能。現在は県境の熊本や広く九州から若手医師を確保できている。