今年も障害者のアート展「がっせえアート展」が11月9日より始まりました。今回で第5回目、協賛いただいている芸術家の皆さん、そして主催責任者である茨木ペアの熱意には頭が下がる思いです。ただこの場合の熱意とは悲壮感漂う執念みたいなものではなく、興味・好奇心・観察眼の固まりみたいなワクワクする行動力とでも言い換えられようか。
オープニングとしてトークセッションがあり、参加者は但馬の障害者入所・通所施設から4施設6名が、アドバイザー的に京都精華大学名誉教授「長岡圀人」氏と滋賀県のオープンスペースれがーと「井上多枝子」氏、進行は茨木ペアです。
トーク内容は・・・・・施設でのお絵描きや粘土など創作活動の時間をどう確保しているのか? 画材や絵の具はどうか等の発言が施設側からありました。考えてみれば画材とは教材の一部で業者から既製品を買うという事をイメージしている。例の白い画用紙に色鉛筆、絵具ですね。しかし今回の出展作品を見ても解るように段ボールに書いた作品や、チラシ広告の裏面に書いたもの、画用紙を使っていても裏面に続きを書いた作品もあるように、画材という概念が障害者には無い場合が多い。(無からの創作が新鮮だったりする) あるいは時間の概念が違う。作業の時間、掃除の時間、睡眠の時間など一日のスケジュール管理の枠に収まらない自由さが彼らにはあったりする。(思いついた時こそ力を発揮できる場合が多い)
これら発言の後、井上氏が「施設利用者を一日中観察し、メモを取ることからはじめよう」「きっといろんな事が見えてくる」
「彼ら一人一人が何に反応し何に関心があるのか解ってくる」 「これは非常に楽しい事です、見てて飽きない」
また長岡氏は「創作活動(アート)はお絵かき(グラフィック)だけではない、いろんな素材が考えられる」「我々がゴミだと思っている不用品もバラエティー溢れる素材です」「どこかに貯めておく方法を考えねば」「がっせえアート展で立体造形もあって良いのでは」
音楽、ダンス、調理などもアートテーマとして考えられる。
「障害者に関わる人(支援する人)が楽しければ、それは障害者にも伝わる」
「自由な発想で出来ることから、あすから取り組みをスタートさせよう」
さて90分のトークで、保護者からも子供の持つ癖(この場合個性)について相談があったり、今まで創った作品をどう保管管理すべきか? また無償で貸し出してはどうかなどの意見も興味深いものでした。とりわけ市役所や病院など公的施設に展示されている有名な作品は難しいモノが多い、権威を表現するには効果的だが、市民が楽しくなるような元気の出る作品としては、がっせえアート展に出ている障害者の作品の方がふさわしいのではないか? 八鹿病院で是非とも展示を!!!
現状の障害者施策は、生活支援に重きを置いてきた。当然ではあるが、世の中は進化している。福祉就労からB型、A型就労を目指す取り組みも、我慢を強いるものから科学的に適性を見極めるように変化してきた。授産品の生産加工の取り組みも変わらねばならない。ここで創るものは時間というコストを民生品ほど含まない。とすればもっと違った授産品があってもよいハズです。
福祉法人の大型化と安定化は経営上必要でしたが、次は障害者に合わせた多様性が求められています。ポイントは個々の障害者ごとの特性を個性と捉えることができて面白いと思える人が支援員として働ける場創りでしょうかね!
このことは介護福祉、医療の場などおおよそ殆どの福祉関連施設に共通する課題かもしれません。