ワークライフバランス、予算特別委員会2
ライフワークバランスの推進について
成果の集中と勤務の分散について
人は何故東京に集まろうとするのか?日本で最も交通・通信網の整備が進み、多くの商品を扱う小売店、教育、文化、娯楽、マスメディア、行政関連機関が集積している。これら高度な都市機能の充実は人だけでなく企業も引き寄せる。高度な都市機能を共有インフラとして利用できる魅力があるからだ。集積した市場では特異なマーケット分野でも市場規模の大きさ・深さと企業活動の高効率性により採算ラインに乗りやすい。企業も必要な人材確保はしやすく多様な能力を持つ人々がフェイスツーフェイスでコミュニケーションをとることは知識の波及が空間距離の近さゆえ容易でなお蓄積されやすい。
以上が社会心理学者CSフィッシャーの街(集団)が成長する論理です。
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さて県庁での上記取り組みの中で、最も次元の違う、変革幅が大きなものは在宅勤務・あるいはテレワークです。
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密集、人が過度に集中して効率的に仕事が出来る働き方、県庁のような組織体系を否定するつもりはありません。関係部局の集中は複雑系への課題対応では早く処理できるメリットがあります。しかし超過密で高効率な環境であるはずの東京都内での通勤、移動にかかる時間やコスト、人へのプレッシャーは同時に国家的損失でもあると指摘されています。だからこそ在宅勤務・サテライトオフィスなどテレワークはワーク・ライフ・バランス議論の本丸と言えます。
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住友商事では社員4,000人がテレワーク対象、カルビーは在宅勤務を本社移転を機に導入し、現在では都内400人が対象となっており、地方自治体でも佐賀県庁などは全庁的に在宅勤務を導入しています。特に民間企業では勤務時間ではなく成果に報酬を出す制度にシフトしているといえます。
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パイプドビッツの「働き方改革研究センター」が、全国2.4万人を対象に実施した「働き方改革研究センター調査2018」の分析結果レポートでは、「在宅勤務制度」や「サテライトオフィス」といったテレワーク制度の活用による、業務における集中度の増減効果を調査しており、時間を忘れるほど作業に没頭して集中した状態、脳のフロー状態を業務のパフォーマンスを測る指標とし、テレワーク制度を活用することで脳のフロー状態の機会が増えるのか、在宅勤務制度とサテライトオフィスのどちらが効果的なのかを分析・検証しています。それによるとサテライトオフィースの場合が最も数値がよく、約16%フロー状態が増える結果となりました。
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何故脳のフロー状態が続くのか私の直感ですが。それは、余分な作業が排除されているからではないかと思います。例えば上司からの要らぬ介入指導、お茶、コピー、他人からの要件の取次、その他共有しなくても良い事項のレク、気遣い、これらが不要となるからではないかと思います。
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間もなく始まる5G通信、膨大なデータのやり取りが早く安全になると考えられます。更なるセキュリティーなど環境整備も必要ではありますが、巨大オフィスに人を集めるのではなく、人がいる場と作業成果を集める場との分離が、子育てや介護、プライベートな時間確保、ワーク・ライフ・バランスにつながり、ひいては仕事上の成果も上がると考えます。現在も在宅勤務を始めとする働く場の改革は行われていますが、今後の県庁舎再整備計画にも関わる(本庁舎の必要なオフィース面積が技術進歩で変わる)大きな可能性をも秘めており、今後も力強く推進していく必要があると考えます。
ワーク・ライフ・バランスにつながる成果の集中と勤務の分散、つまり働く場の改革について、今後、どのような目標に基づき、どのように取り組んでいくのか、当局の所見を伺います。