投資の評価基準とは
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3 兵庫の発展に資する投資の評価基準について
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此度の県政改革方針令和4年度実施計画案では6つの大型投資事業について、それぞれ見直し内容や今後の検討内容が挙がっています。そこには「民間投資」「財政状況」「莫大な費用」といった投資=負担との価値観が底流にあるように見受けられます。但馬空港については「但馬地域の振興のため」との表現がありますが、芳しくない数値だけの羅列が独り歩きし始める前に、まず触れておきたいと思います。
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但馬理想の都の祭典、期間中のメイン事業、としてコウノトリ但馬空港が平成6年5月18日開港。1200メートル滑走路のコンパクトな空港です。しかし8か月後の平成7年1月17日阪神淡路大震災が起こり復旧復興に全県挙げて対応
。これが外部要因1です。
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以来20数年間、コウノトリ但馬空港本体の更新は一度も無かったと言っても過言ではありません。(高速道路の北進や人口減少など言い訳は幾らでも出来るが・・・)
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二つ目の外部要因は就航機材(サーブ機)のメンテナンス期限終了です。就航機材の変更を余儀なくされました。結果として導入された新型機ATR42は静かで快適・定員増加、東京乗り継ぎ便利用者増などで搭乗率70%維持。 三つ目の外部要因はRESA(滑走路端安全区域)の90へのm延長で(総工費約40億円)期限は2027年3月末日。そして四つ目の外部要因がコロナ禍で航空需要の落ち込みと航空会社の経営難です。
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さて現在の国内線空港の航空系事業単体での経営状況は コロナ前直近でコンセッション空港を除く国管理空港16、その収支は東京国際空港、新千歳空港以外すべて赤字、地方管理空港50の内、黒字はコンセッション前の神戸空港だけです
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一方、高評価で躍動してきた
芸術文化観光専門職大学(CAT)について考えてみます。
「大学は学生が多く居住する都市部に設置すべき、多様な教授陣を集めるには中山間地域は無理、都市部に設置すべき」これが今までの常識でした。
しかし世界一流の指導陣は多自然地域の魅力や可能性を知っていました。また具体的な夢を描く若者は鋭い選択眼と勇気をもって田舎に飛び込んだのです。
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同大学の藤野一夫副学長はここで身につける能力について①芸術文化や地域の魅力を活かした新たな観光ビジネスを展開する能力、②芸術文化を活かした想像・創作活動や文化施設の企画運営を展開する能力で、この二つの能力を併せ地域の魅力を深く掘り下げていく。こんなことを学べる場所は日本には無かったとおっしゃっています。
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従来の文化観光政策は、古今東西の絵画や彫刻、歴史文化遺産など有形文化財が中心です、だから○○遺産、○○博物館、美術館、○○植物園などモノ展示施設に偏っています。一方、舞台演劇、ダンス、音楽など動きと光と音が織りなすパフォーミングアートは時間と場所を共有することから始まり、コピーできない唯一の価値を持ちます。作品は劣化することなく鑑賞者の記憶の中で生き生成され続ける特性があります。
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投資を判断する大きな要素は、必要性、有効性・効率性、環境適合性、優先性等とされる。行財政改革、コロナ対策優先、SNSでは単純キャッチーな言葉にさらされている現代は今日明日の損得で判断し、夢や可能性を捨てて堅実でわかり易い判断になる傾向にあります。もちろん効率性、採算性を否定するつもりはありません。
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しかし大きいところが更に大きく、小さいところは競争に負けて無くなっていく
単純なパワーゲームでないところが五国の多様性を認めることであり、地域としての面白さ、兵庫の躍動ではないかと考えます。また都市・多自然地域と単純に人口や経済高比率で判断できない、相互互換性を追求することが広域県政の本分に他なりません。 即ち神戸の都市機能集積は兵庫経済をけん引するかも知れないが、多自然地域の資源の利活用もまた神戸発展の可能性であるということです。
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投資事業判断・評価の指標、要因をどう考え躍動するひょうごを目指すのか伺います。
地域経済への波及効果をもたらす公共財です、だからこそ収支均衡のための一定の公費負担による運営を行うことが基本。
地域経済への波及効果をもたらす公共財です、だからこそ収支均衡のための一定の公費負担による運営を行うことが基本。
ヨーロッパでは公共が係わり支える 文化、スポーツ施設、交通日本では民間に任せる
広域で事業展開する企業、広域な行動エリアを持つ個人があり、活動圏域と居住圏域(行政所管範囲)は同一の一地域と捉えるのは過去の概念です。
「大阪に来た人が神戸に、神戸に来た人が姫路城に足を延ばし、但馬にも来るかもしれないという発想は果たして発展的か? 但馬に来た人が姫路、神戸にも行き 関空から帰国することも想定することが必要」