東井義雄教育塾 平田オリザ氏
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私の八鹿小学校時代の校長先生であった東井義雄先生、その教えは生徒だけでなく生徒を教える先生にも大きな影響を与えている。東井先生の書かれた言葉や教員との間の文章によるやり取りは、同じ職場で共有される。今も東井語録を集め編集する第一人者「米田啓祐氏」は、私の議員活動の理解者でありずっと御指導戴いている。東井先生に学びその教えを広く現代に伝える会「白もくれん」は月一の例会を続けておられ、その会長「衣川清喜氏」は朝来農業振興事務所長などを歴任された親しい方でもある。白もくれんの会の東井先生の教えを振り返り、今の教育に活かすための自らの学び活動は東井先生の意思を引き継ぎ、今も会員の脳裏から東井先生が消えていない。
毎月の読書会
(東井先生関連書の朗読会)がコロナの影響で中止、参加者を十数名に絞りなんと平田オリザ氏が講演された。もったいない企画ですから、東井先生ゆかりの養父市民が私も含め三人、東井先生の東光寺(但東町)に伺うことになりました。
~以下平田オリザ氏の講演内容抜粋~
文科省の学習指導要領は29・30年改正で、「生きる力学びのその先へ」そしてどのように学ぶのかについて「主体的、対話的で深い学び」をテーマに授業を改善するとある。
主体的=個人的な深い学習
対話的=他人との関りでの学び
主体的とは自分自身の意思で能動的に学ぶことだが、対話的とは他人との意思疎通や議論による思考の変化向上とも取れるので異なる二つを掲げている。
深い学び=??? 大学卒業時には入学時の学力能力に加え4年間でどれだけ伸びたか、向上したかを評価指標として就職時の目安となる試験で個人の能力を計ろうとする動きがある(企業の脱・春の集団就職)
会話と対話
会話好きな日本人(挨拶や天気、景気などの世間話かな)
対話が多い欧米(自分の意見を言い説明する、相手の意見も聞く、一致しなくても多様性を認める)
米と麦
これは米文化と麦文化の違い=水の管理、一斉除草など集団作業が多い米作、一方麦は個人家庭で広い面積で栽培可能。日本人の皆が同じ考えであるべきとの考えは集団米作、そして侵略されにくい島国であったからでは?
高学歴と家計所得とは比例していると言われる。そして様々なデータが研究の末公開されつつある。学力に関連する要因を上げてみる。
- 子供のころの読み聞かせ、本棚、地図
- 美術館・博物館・舞台などの見学経験
- 朝食をとる
- 勉強しなさい言う(これはマイナス作用)
つまり経済力と文化力が学力に影響することが分かってきた。また経済的困窮者が出てから救うより、出ないよう事前に教育を無償ででも提供した方が費用対効果は高いことも解ってきている。
東京は経済力に加え文化力もダントツ
芸術アートは地方でも出来る、この9月豊岡演劇祭を実行、演劇の見本市的イベントとなる。多くの方に芸術舞台に触れていただき、普通にアートやアーティストが行きかう街となる。学校への出前授業も既に始まっており、生徒が自分たちで配役を決め何をどう演じるのか?創作授業と相まって但馬地域のこどもの能力を高めたい。
学校の役割
今まで先生は知識・技術を教えていた。しかし現代は学校に行かなくても普段の生活の中でそれらは得られている。だから学校で集団で学習する目的は対話、他人の意見を聞き、自分も考えを話す、つまり対話が必要で多様性を認め合う調整、認知の場となるのでは?
フランス革命は自由・平等・博愛=相反する権利や義務を愛情で調整和合
但馬で行う教育=主体的・対話的で愛のある学びと言い換えられる