農業振興と農道の関係
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過疎基幹農道建屋安井谷線の事業計画があります。朝来市は竹田城の北西に位置する藤和地区と養父市建屋の唐川地区とを結ぶ農道を作る全3期計画です。しかしこの計画は2期工事途中、平成18年より休止となっています。理由は政権交代による予算の削減などです。平成30年には農業を支えるインフラ整備予算は回復しましたが一旦中断した事業を再開するには、財政状況や農業そのものの環境が大きく変わっていることへ上手く対応しなければなりません。
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「まずは現地を見よう!県と両市、地元関係者で現場を歩こう」推進協議会会長の木谷氏の号令で、今年も20数名が現地に入りました。地理的には比較的緩い傾斜で距離も2~3キロ。雨続きで小川の水量は結構ありました。
藤和地区、唐川地区の課題は、主要道路までの距離があり道路も狭いことから昨年の豪雨で藤和地区の市道で土砂崩れが発生し2日間孤立。唐川地区は未改修の狭い農道と落石などに悩まされています。これら中山間の農村生活の安全を確保する必要があります。地元農家での協力体制は再び力強くなっているようです。
当初と今は何が違うのか?
- 用地買収に地権者が応じなかったが今はOK
- 農水省や兵庫県での事業評価が厳しくなり費用対効果が出にくい
- 元々地元負担が殆どゼロの事業交付金は、今では順位が低い
- 地方創生で農業を基幹産業と位置付けるもその評価指標が定かでない
当地区だけの農業振興も重要ですが、この際もっと広域的にみなみ但馬の農業振興計画を描き、その中で当地が果たす役割を位置付ける方法もある。その計画実行には農道が必要不可欠となることが一番望ましい。
JA朝来市に貯蔵されたもみ殻と鶏糞・牛糞の堆肥化を進める。
堆肥の貯蔵集配基地機能を置くなど計画されたこともあった。
その都度、養父市・朝来市は計画に協力し共に推進してきた、今までの投資で実現していないことは感情的には受け入れ難いものかも知れない。しかし既に陳情活動だけでは実現しない現実を直視しなければならない。まず広域農業振興計画を描き、農業者・養父市・朝来市・整備地区の合意と協力が不可欠です。
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例えば世界的評価が高い神戸ビーフの元牛である但馬牛、需要に供給が追い付かない状況をいつまでも放置できない。宮崎や佐賀、三重などでもブランド肉は絶好調で競争は激化。子牛の遺伝優位性を維持しながら更に但馬ビーフ、神戸ビーフの供給量を増やさねばなりません。ネックは初期投資(牛舎・子牛他)の高さ、糞尿処理施設の不足、畜産立地の確保などですが、これら兵庫県農業ゆえの特徴的課題を克服し発展できればと思います。 養父の子牛市場、和田山町の食肉センター整備などは温存し、更に神戸ビーフ関連産業や研究機関の但馬集積率は高めねばなりません。(巨大消費地と輸出適応食肉センター以外はね)
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過疎基幹農道のありようとは、過疎という格差是正のための道から過疎だからこそ出来る農業のための道、あるいは両方かもしれない。