29年度兵庫県立但馬技術大学入学式
桜の花が咲く本日新たな出会いが生まれました。兵庫県立但馬技術大学へ入学される43名の皆さんおめでとうございます。モノづくり立県を目指す兵庫県、その基本的な技術習得を目指すのが本大学です。
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「桃栗三年柿八年」寿司職人では「飯炊き3年握り8年」という言葉がある通り、修行は10年以上かかると言われています。回転すしの機械化や握り寿司ロボットを使いレシピ通りに作業を行えば、3日で回転すし、スーパーの総菜売り場に並ぶ寿司は売り物レベルに作ることはできるかもしれません。
しかし、魚の旬や、鮮度の見分け方、組み合わせ、更にお客の好みに即座に合わせる一流の寿司職人とはそもそも職種が違うように思えてなりません。
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自動車では、レクサスというトヨタの高級車ブランドの高級とは・・・内装、ダッシュパネルは プラスティック、アルミ、ウッド、ソフトパッドなどを組み合わせて据え付けるのですが、すべての部品は整形した時に角が直角とはいっても丸くなっています。その半径を0.5ミリで設計したと聞きます。半径が大きいほど組み付け誤差がでてもわからないのです。0.5ミリでは少しのズレでも解ってしまいますが、うまく装着すれば面一で一体感・連続感が生まれます。
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ボディーの塗装も、何層も塗り重ねるうちに角が丸く盛り上がります、またプレス精度に関係なく歪んできたりします。最後は職人がクリアコートを手で磨くと聞きます。糸を張って映りこみが曲がっていれば面が均一ではない事です。 部品は0.5ミリで製造できても組み付けにばらつきが出て近年は0.8ミリに訂正されたと聞きます。
~ちなみに私はふつうの日産車に乗ってます~
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幾ら機械化、工業生産品、既製品の種類が増え品質が向上したとはいえ、その組み付けは長い経験を積んだ熟練の人の手が必要です。 機械の部品製作のデジタル化にしても、その原機となるものは人間の研ぎ澄まされた感性がモノを言います。 本当の豊かさ、熟成社会で日本のモノづくりとはまさにその域に達しているモノが世界的に評価されています。
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皆さんはこれから2年間この但馬技術大学でモノづくりに欠かせない基本的な技術をしっかり習得して欲しいと思います。 パートの寿司売り場ではなく、カウンターの本物の寿司職人の域を目指して夢を実現し兵庫のモノづくりを牽引してください。本日の入学と今後のご活躍を祈ります。