農業特区 ~小さな特権に大きな期待~
養父市が新潟市と同格に扱われメディア露出は一気に増えました。宍粟と同じくらい読みにくい養父市、読めることが自慢になり、やがて普通に知ってて当然となるよう、農業の次はヤブ医者(八鹿病院)でしょうね。
余談ですが私の住所も読みにくく養父市八鹿町上網場 (ヤブシヨウカチョウカミナンバ)と読みます。
今のところ特区指定での最大の効果は外部から注目されることです。
従来から述べているように、過疎少子高齢化が進む但馬にとって人口が減っていくのはある意味仕方無いことです。しかし但馬にとって最大の課題とは新たに外部から但馬に居を構えたり職場を求めたりする人が少ないことです。新しい価値観が入ってこない地域は衰退することは歴史上常識でしょうかね。(ノアの箱舟を除いて)
■特区関連の動きで今後考えられる可能性を少々・・・・・
・外からさまざま知恵と資金、人材が養父市に入ってくることで発展の可能性が広がります。特に今後の発展が期待せれている農業分野への企業参入は期待できます。
・農業委員の反対さえも報道されればされるほど宣伝になりますし、逆の立場からの良い意見が生まれたり外部から知恵が入ってくる可能性が広がります。
・即市場で勝負できる品質のモノを効果的に売り出し生産量を上げる。(山椒、米、柿、椎茸・・・・・)
・そのためには農地の集約による効率的活用が不可欠。
・大屋川、建屋川など比較的狭い流域ごとに水質・土壌管理を統一する。
・大屋高原を成功モデルとして拡大と発展。
・農家レストランなど、地域産品を養父市で食せる絶対的本店を作る。
・食のデザインとは芸術、ビッグラボと関連付ける。
・ヨーロッパは、厳しい規格を自ら設け、アメリカ農産品の輸入制限をしています、養父市でも独自の環境基準を。
・その上で既存ルート以外の販売・流通契約を確立する。
・一方で経済を優先しない楽農生活を基本とする新居住提案もありか。
・農業特区指定を受けて市は税務財政を除く部長で構成するプロジェクトチームを結成。
・今回の特区制度では農地の用途転用・譲渡許可権は市長、農業委員会は耕作確認・農地維持などは従来のまま。
・従って市長は許認可の方向性(項目設定)を早急に決め決定に係る理由を公表せねばならぬのでは。
・項目こそが市の進めようとする特区制度活用の農業計画となり農業委員との関わりが問われる。
・グランドデザインや個別事業計画の策定確定は今後1年くらいかかるのでは。
・市は今回の農業特区の地域指定をどこまでか早急に確定する必要がある。
・具体的な事業展開については、農業法人(参入企業など)の希望と土地所有者とで調整する必要がある。
・この場合、農業委員会が反対している状況では場所によって難航するかもしれない。
・㈱養父パートナーが物販以外どんな役割をはたすのか?出資比率変更は?
・既に活動しているヤンマー、保田農法、シルバー人材センター(棚田米)、但馬醸造、6月稼働のオリックス野菜工場との関係は?
・農協の役割が再び問われます。農協改革も含めJA但馬とまず相談してみては?
・農業委員会の役割も残っています。市長との役割分担で新たな役割とは何かを考えねばならぬ。
・市の事業計画策定時から協議を開始し支援方向と支援できる事業、できない事業など準備する必要がある。
・そのため、知事からの要請で経済・環境・農政部門の支援チームを結成する。
・市の課題や要望を直接支援、あるいは農林水産省、経済産業省に取り次ぎ・要請する必要がある。
・朝来市や豊岡市など隣接地域への影響を注視・調整する必要がある。
・特区制度活用の優れた事業を支援するのはもちろん、体系化し、県農業振興に広く役立てねばならない。
私の認識として日本農政は良質な農産物を安定して廉価で国民に供給することが目的です。当然、品質における均一性と低価格であることが必修です。しかし価格を高くさせないこととは農家の利益を低く抑えることです。これが農政の抱える本質的矛盾です。その意味からは儲かる農業の推進とは何のことでしょうね? 中途半端ともいわれる農業特区メニュー、農業委員の権限一部移譲や農業法人設立要件の緩和にとどまった理由でしょう。
特区制度とは他と違うことが求められており当面は安定廉価を目指す従来の目的とは違います。廉価である必要も、そこそこの品質である必要もありません。圧倒的な他との違い、特異性こそが注目され、市場が受け入れてくれれば農業改革の道が開けます。やがて次代農業のスタンダードとなる事を目指して、限られた規制緩和ですが敏感な民間経済界の農業進出意欲と共に養父市の挑戦が始まったのです。