搬出(利用)間伐)はあまりうまくいかなかった、正確には既存制度(補助金間伐)では使いにくかったから森林行政関係者からは不評だった。しかしそれだけで梶山理論を評価してはならない。
この四年間は特に防災が大きな課題となって、様々県事業が行われた。3・11では統一地方選挙で掲げる公約的な優先取組テーマが変わったのです。クローズアップされたのは津波、原発でしたが、兵庫県の場合は少し地域性で違った。南部の津波、丹波の原発被災想定、全県的には被災ゴミの受け入れ安全度など。(20%を圏外処理の根拠は曖昧だった) では但馬など北部はどうだったか?それは何といっても地すべり、崖崩れ、河川堤防の崩壊など、海の津波ではなく陸の津波、即ち土砂災害が私は怖かった。
ちなみに23年度~26年度の四年間にどれほどの土砂災害対策が講じられたのか、県関連事務所に集計してもらった。それによると
(データは養父土木事務所、朝来農林振興事務所調べ) 養父市、朝来市の合計
このような膨大な事業で県民の安全を第一として実施し今も継続されています。さて緊急性の高い土砂災害対策を行いながら併せて考えねばならないのは、自然災害への長期的な対応方法でもあります。巨大堤防を築けば、水の流れは見えなくなります。コンクリート擁壁を作れば山に行き来しにくくなります。それら変化する自然現象から全く影響を受けない生活は東京ならともかく、中山間地では今のところ考えられません。それどころか地域創生とは他との違いこそが創生のテーマ足り得る。
そこそこ(最適量)のハード整備と人の対応力としてのソフト対策、というより根本的な考え方を整理しなければなりません。『最後は逃げろ!』みたいなね。
今回の梶山先生の話は上述の長期的(自然と共生する抜本的)な災害対策でもあります。非常に論理的な内容でした。本来彼の論理は持続可能な森林整備と伐採方法、そして利用方法を考えるという内容。いわば森林資源量とおおよの質が解りかけた今、どうすべきか?欧州やアメリカなど先進国はどうしているのかを解説していただきました。 法と組織が未整備なのは言うまでもありません。
生野、赤穂のバイオマス発電は、大きな契機です。何故なら燃やすためだけの燃料として20年間木を伐採搬出することが可能かどうか?(不可ですよね)では一緒に切り出される高品質材(燃料用以外の建築材)をどう利用するのか? 植林はしないの? 鹿対策は? それ以前にどこから切り出すのか? 道路網・林道は? 要するに20年間、何処から誰がどの順番でどうするのか?を想定しないといけないのです。 動き出せば課題も夢も見えてきますから、そんな意味で大きな契機に違いありません。現場を注視しなければなりませんね。