県内で最も大きな木質バイオマス発電が稼働している㈱日本海水(赤穂市)を訪問しました。28年9月からは朝来市でも関電系の木質チップ発電が試運転しますし、丹波市や養父市でも計画があると聞きます。太陽光発電は一機に普及しましたが、次は小水力と地熱、バイオマス(木質・メタン)が注目されています。(根本課題は蓄電ですが)
さて㈱日本海水の概要ですが、この会社は海水から塩を作っており、その規模は年間総生産40万トン、国内シェア50%
海水から塩を作り工程は汲み上げ→濾過→電気透析→かん水→結晶→乾燥→塩製品
電気透析には大量の電気が必要で、それを自社発電に切り替えたのです。また結晶させるのには大量の熱が要りますが、その熱を電気的に作るのではなく発電時の排熱(正確には蒸気タービンを回した後の高温蒸気)を利用する仕組みです。
発電装置は二つあって、一つは天然ガス発電。この発電機で作らられる電気・蒸気とも工場内で塩生産のために使われます。(以前からあったのでは)そして今回我々が調査した稼働している二つ目の発電機は木材チップなどを燃料として蒸気タービンを回し生み出された電機はすべて売電、熱は工場で使用し、残りは近所の工場へ販売されます。(かなり余分~失礼~エネルギー余力があります)
発電のみではエネルギー効率は37%ですが、排熱を利用することによって76%まで効率が上がります。(一般家庭でも暖房、給湯など電気で温めるまた冷やすなどの熱利用は30%以上ありますから、排熱利用は有効です)(北欧のパルプ工場やチップ発電工場では熱をお湯などに換えて一般家庭に供給している地区もあります。
この木質バイオマス発電に要するチップは年間20万トン、内訳は建築廃材や、海外からのヤシ殻、バーク(木の皮)、BE材木(枝、根っこ)、間伐材などで、兵庫県の山から搬出されるものは年間5万トンを使用する計画です。
安定的に山から切り出す(拾ってくる)ことが必要ですが、課題は運送費でしょうね。 日本海水では委託の専用チップ製造工場で3万トンのチップを確保し、残り2万トンを外部工場で製造されたチップを受け入れるとのことです。
ちなみにバイオマス供給協議会(森林組合、搬出・製材関連業)での共通価格は木材1トン7000円、チップ1トン12000円くらいだったかな?
朝来市のバイオマス発電はまだ調査に行ってませんが、木質チップの年間必要量は6万トンです。兵庫県の年間木材搬出量は24万立米=18万トンですから、28年度、朝来市のバイオマス発電が稼働すれば木材輸送の総量は現在の1.8倍となります。伐採、搬出は同じ作業(近い山林での作業)ですから一概に180%とはなりませんが、巨大燃料マーケットが出現したことは歓迎すべきことです。