まさかの兵庫県立大学の県民だけ授業料・入学金の無償化がスタートしそうだ。R6年度から新4年生は授業料がタダとなる。知事が昨年8月突如記者発表した県立大学の無償化は、事業効果や影響、つまり政策的に目指すべき目標数値が全く示されないまま短期間のうちにスタートすることとなった。私の知る限りこの無償化事業に賛成している県職はいない。(立場上、知事幹部職員の一部を除いて)また市町関係者・民間経営者・私の後援会の方々にも多分一人もいないと思われる。 当然私はR6兵庫県予算への本会議表決において、無償化事業は反対の立場から表決に加わらず議場退席しました。(議員生活初めて)
では何故この無償化事業が議会で賛成可決されたのか? 自民党は何故反対、あるいは附帯決議で条件を着け、それを本会議場で議決しようとしなかったのか?
それは知事提案事業は賛成しておいた方が今後、物事を進める上で得だと思われるとの政治的判断が働いたからではないかと思われる。また一部の斎藤知事を前回知事選挙で誕生させたと自負する議員が自分の立場上、自身の所属する会派から反対はおろか修正、附帯決議をも出さないでおきたいとの思惑があったのではないかと思われる。 県議会執行部は知事部局情報だけを聴収して結局、一方の県民代表としての議会活動は何もしなかったことになる。最後の表決が迫り大慌てで会派内意見を取りまとめようとするも時間切れとなった。(それも想定内だったのか?)知事部局はこれだけ議会で課題や優先順位を指摘されても強硬に突破してきたが、あの答弁で賛成するのは二元代表制の否定でもある、まさに議会の見識が問われる世紀の場面。
当然、党議拘束(会派内での表決態度の統一)は行えず、表決態度は自由となることは想定できたが、私は自民党県議団を除名されることも覚悟していました。除名・退団させられたその時の私の行動計画は・・・・・言わぬが華。 統一地方選で大阪維新に大負けした自民党県議団を立て直すために会派統合した目的は、こんな結論を導くような会派にするためではなかった、少なくとも私は。
それにしても事業効果予想や予算的妥当性を議論する政策的判断は政調会が行うべきもの、初めて単独過半数割れした自民党、執行部はその重要性を認識し行動したのか? 喉元過ぎて常温と感じていなかったか? そして・・・・・無償化することの(屁)理屈を探し積み重ねてはいなかったか?
無償化事業計画が未熟であればあるほど、政治的手法を駆使して議決を得る必要がある。今回の政治的凋落方法とはどのようなものであったのか? 一部でも書けば今度は私が議長から議会権威を貶めた嘘8百の怪文書を発行したとして告訴されるかも知れない?
無償化事業での課題は様々あり、議会でも多くの議員があらゆる角度から質問したが、事業効果検証などはスタートしてから行うとのことで未だ想定できていないのか?できていても公表できないのか?
・・・・・・・・以下県立大学の無償化おさらい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.学生への公平性
県立大学一学年生は約 1,300人
R5卒の県内高校生は約42,000人、
内大学進学者は約 28,000人
内県立大学入学者県民 737人(県民生徒の1.7%)
2.支援金の公平性
兵庫県民の県立大学生737人=2,500,000円(入学金と4年分授業料)
私学他県立以外大学生26,267人= 0円
大学に進学しない者 14,450 人= 0円
奨学金返済支援制 484 人= 600,000円 (登録企業267社に就職した者 R4・484人)
3.他府県学生への公平性
芸術文化観光専門職大学の兵庫県民学生は16.3% 関西圏でも31%
兵庫県立大学学生の55%が兵庫県民
4.財政的安定性
県債管理基金の積み立て不足は2,000億円、昨年度実質収支60億円を毎年積み立てた計算でも30年掛かる。加えて分収造林事業負債730億円、地域整備事業負債800億円が確定している。県立10病院の収支は昨年度R4▲24億円、R5▲96億円 ここに県立大学無償化予算毎年23億円超が積みあがっていく。
高等教育無償化へ向けてはその名の政党が立ち上がるくらい近年、有権者にダイレクトに交付・給付することは選挙での集票効果が高いようで政党の支持獲得には流行している。しかし自民党本部や文科省の方向性は高等教育無償化とは少し違う(今のところ)
自民案それは大学院生や理工系の博士をまず、授業料の後払い制度を導入すること。順次時代が求め且つ不足している学部生にも後払い制度対象とすることです。
その際授業料と生活費を分けて考えるとされる。これは日本の学生の35%が平均310万円借りているとされる奨学金の返済を支援することに近い。
兵庫県も奨学金返済支援制度はあるが、その規模は約500人、制度参加企業数約300社程度 県下企業数は14万社、奨学金返済者は約20000人(推計)
彼らこそを新兵庫県民として歓迎して迎え入れる事業が望まれる、兵庫県で働き、結婚し子育てし居住してくれる。県立大学無償化対象の既存県民700人に年間23億円使い続けるより、真っ当な事業足りえると思える。
ひょうたんから駒
最後の微かな期待は、国公立大学の無償化が国策として一気に進むこと。(県財政も助かる)
タダほど高いものは無いと言われるが、これは自由経済下で生きている我々の支払った価格と獲得した価値の相関の概念を表していますが、この概念を壊す挑戦が大学無償化かも知れません。タダの県立大学の価値・学生学力や評価が授業料を取っている大学より上がることが起これば、この言葉は通用しなくなりますね。
老若男女で言い表されていた、多くの人間・広い対象者から漏れる人々の主張からは ~老いも若きも男も女も男女で分けられない人も~
さて兵庫県立大学が兵庫県民大学と揶揄されぬよう、逆境下(無償化制度で安易に県民入学生を獲得できる環境)でも発展の可能性を探らねばなりません。
最後に政治姿勢について、 胸張って県政してるか?
自民党会派に県立大学無償化に反対した議員がいること、それは自民党にとって県政関与の保険かも知れない。