県立高校の入学式が4月8日一斉に行われました。南から生野高校、和田山高校、八鹿高校、但馬農業高校の4校です。
周年式典や卒業式(ほぼ議会と重なる)、学園祭で一通り参加させていただきましたが、毎年どこの学校に行くのか?迷うところです。
今年は何かと話題の農に関する、但馬農業高校に行きました。
人口減少で入学者総数が減っている中でも本年度は多い入学者数でした。みのりと食科が40名、総合畜産科が32名です。
これからの日本で最も注目されている職種は農業・林業・畜産業です。新入生の皆さんは良い選択をされました。但馬農業高等学校への入学おめでとうございます。
かつては農家を継ぐ男子生徒が多く通っていた農業高校ですが、兼業農家の減少で農業人口は減少し続けています。一方で但馬牛、神戸ビーフ、朝倉山椒、岩津ねぎ、蛇紋岩米・・・世界的に日本の農産品が高評価を得ています。
しかし食料の安全保障と言われるように、安定的に食料を確保し、且つ地球や人にやさしく美味しい食料を自給することが求められています。
今のように海外から豊富な食糧が入らず日本が国内産だけで食料を賄っていた時、それは江戸時代までです。当時の人口は3000万人、基本的に白米と魚、野菜、汁物が基本で今から考えると 栄養学的にも量的にも十分とは言えず、それゆえ日本人は体型が小さく、体力的にも欧米はじめ海外から大きく劣っていました。
あの時代の食生活に戻ることはできません。 緑の食料戦略を国は策定し2050年までに農薬を50%削減する、化学肥料を30%削減ことを目的に、有機農地の比率を25%までに拡大することが掲げられました。コノトリ育むお米などで少し先行している兵庫県も、人と大地にやさしい農業の推進に取り組みます。
そんな大転換期にあり、日本の農業を机の上での勉学と農場など現場の両方から支える役割が期待されます。
但馬農業高校の校訓「汗をいとわず、命を尊び、日々高きを志す」は現代社会に欠落しかけている、しかし誰もが重要だと認識し始めた生きる姿勢や人生訓としての示唆に富んでいます。株価や通貨相場に一喜一憂する現代では人工的な評価基準でゲームのルールを学べば短期的に優秀な結果が得られるかもしれません。しかし長期的な人間関係や自然との関りを無くして社会では永続的な価値を生み出すことはできません。
校訓を農業に例えると「春に種まき、夏に手入れをし、秋になって収穫する」
つまり必要な努めをコツコツ果たし作業は行わなければならない、蒔いたものしか刈り取ることはできない、そこに近道はないということをあらわしています。
人の成長や人間関係も自然界のシステムの一部であり農業の法則が支配しているのかもしれません。そのような意味において平均的必修である学校教育・教科はもちろん、但馬固有の地域資源でもある農畜産と加工、その技術を学ぶと同時に自然の摂理を体験しながら理解してゆくことは高校教育の新たな分野を切り拓く可能性を秘めています。
30%が大学進学、70%が就職、就職者の内70%が但馬で就職、つまり50%が但馬の担い手です。彼ら卒業生を農の括りで活躍できる職場作りも欠かせません。
時流は先ほど申し上げたとように確実に追い風が吹いています、この機を逃さぬよう精一杯取り組んで行かねばなりません。新入生の大きな将来の可能性をより具体的に実現するための三年間となるようご期待します。