▲選挙中のアダチ州知事と特許申請の契約書を交わす。▼左から環境リサイクル事業を実質立ち上げた藤さん、私、アダチ知事、森本さん
▼センターでのマシーン調整 右はお世話になった南洋貿易の塚本さん
▼グループディスカッション
▼研修プログラムの一環、現地視察。休日明け大量の飲料容器が持ち込まれていた。 ▼センター内部を見学する研修会参加者
リサイクルファイナンスの仕組みでは回収者へは重量ではなく個数でお金を支払ますから、リサイクルセンターに持ち込まれた個数が何個を正確に迅速にカウント・記録することが必要です。以前は手動カウンターで鳥の数や入場者を数えるようにしてカウントしていまたが、正確性に欠けること、税金を還元する事務処理上のミスをチェックできないこと等から、現在では日本製のカウンティングマシーン2台を導入しています。
このマシーンはアルミ缶とペットボトルに光センザーを当てて正確にカウントし、持ち込みユーザーごと回収品種ごとにデータを記録できる優れものです。 ~養父市在住、私の友人の森本聡氏オリジナル~
回収者への税の返還は合計額が50ドル未満の場合はその場(センター)で受け取ることができ、50ドル以上の場合はレシート(証明書)をもらい、後日州政府事務所で換金できます。
コロール州で販売される飲料の内スチール缶は約3%であるため、このリサイクルファイナンスの仕組みに該当するのはアルミ缶とペットボトルの2種類となります。この仕組みが動き始めたころは、10セントの税金が課せられていないときに販売された容器も回収され持ち込まれたのですが、支払対象としたそうです。最近では販売数量と回収数量が合致するようになり、リサイクル率はほぼ100%とか、街には空き缶やペットボトルは全く落ちていません。課税タイミングは輸入時に、対象品は輸入飲料水(多分個数に)、対象者は輸入業者に課税されます。
▼住宅地に設置された家庭ごみ回収カゴ
▼コンクリートに混ぜられた回収粉砕ガラス片、角が気になるがどう処理したのだろう。
「部材別処理方法」
ガラス瓶は砕いて基礎部分や歩道に埋め込み、段ボール、紙は粉砕して、木材チップと混ぜて肥料化
アルミ缶・ペットボトルは圧縮プレスして民間リサイクル業者へ売却。 業者はさらに圧縮して台湾へ輸出 この業者は鉄(自動車・船舶)も輸出しています。
プラスティック:回収し粉砕したものを油化する装置をテスト導入(ODA)試運転中。燃料で使用するには課題があるので、小型発電機の燃料として使用する研究がされている。(パラオの自家発電はディーゼルエンジン、ガソリン価格は1ガロン60セントと格安なのに対し電気代は高い、送電網が未発達のため停電が多い)
▲パラオ美人と何の話? 彼女は愛想ないが動きは速いし感がよい。
▲センターの飲料容器処置棟、右にオフィース棟 さらに家庭ごみ+紙+木材の肥料化棟がある
▲プラスティックの油化システム
今回の研修でもっとも注目を集めたのは、パラオ・コロール州のリサイクルシステムですが、それを支えている機材はMADE IN JAPAN
しかも養父市の(有)森本商会が製作したものです。重量ではなく、個数でカウントするため速度と正確性が求められます。ペットのラベルや、キャップをカウントすることがあってはなりません。また回収者ごとの集計や、カウント履歴なども必要でしょう。そしてパラオで(活躍)稼働することが求められます。つまり現地の人が使いやすいことと、耐久性、メンテナンス性が必要です。
研修中の現地視察の時は、缶やペットボトルをマシーンの上部から投入するとカラカラ音を立てながら縦に落ちてきます。数レーン同時に個数をカウントしながら、デジタル表示計がめまぐるしく点滅します。各国の研修者の驚きと関心の眼差しに、私までも何だか得意な気分になってしまいます。
家庭生ごみと木材チップや紙を混ぜて堆肥化するプラントへも森本商会製作のオリジナル粉砕機が設置されている(ODA資金)。今年8月のカウンティングマシーン2台の導入は現地で大きな支持を得たようだ。リサイクルファイナンスの仕組みは既にパラオで大きな経済効果を生んでいる。センターでの直接雇用60名、それに容器回収者が個人と業者が加わる。『パラオのGDP比換算でいえば、日本でトヨタ自動車を3社創ったようなものだ』藤氏談。
今回の出張では研修会への参加に合わせてアダチ州知事と特許を共同出願する調印も行われた。研修会参加州・国がカウンティングマシーンを導入してくれるかどうか!今後が楽しみです。
大洋州諸国の多くでパラオと似た優れた自然環境がそのままある。人が暮らすための食品流通も飲料水のほとんどを輸入に頼っている。入ってきた物質を島に貯めずに的確に島外排出するには、資源化=分別が不可欠です。
▼リサイクルセンター前の入江
≪パラオ共和国の基本データ≫